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2020.01.27
今回は以前に働き方改革関連法のブログの中でも触れていた36協定(通称サブロク協定)の新様式についてご紹介します。
今回の変更では新様式の導入・上限の設定・健康措置の義務化の3点が注目ポイントとされています。
新制度と旧制度の違いを確認し、労働時間の管理方法についてご紹介します。
◆36協定(通称サブロク協定)とは、労働者に法定時間外労働を課す場合に必要とされる労使協定の事です。
通常、労働時間は労働法36条によって以下のように定められています。
・1日8時間以内
・週40時間以内
・毎週1日以上の休日
つまり、「法定時間外労働」とは、労働法に定められた時間を超えて働くことを指します。
この場合、労働組合など労働者側の代表と使用者の間で合意が必要になります。
合意の元で「時間外・休日労働に関する協定届」を労働基準監督署に提出し、認められてはじめて企業は法定時間外労働を課すことができるようになります。
一般的に、上記の協定届を、根拠となる労働基準法第36条から「36協定」と呼ぶようになりました。
◆36協定で規定されている法定時間外労働は
・正規労働者:1か月45時間、1年360時間
・1年単位の変形労働時間制の労働者:1か月42時間、1年320時間
までですが、特別な事由がある場合はこの制限を超えた労働時間が認められます。
これを「特別条項」と呼びます。今回の法改正では、働き方改革のためこの「特別条項」に上限が定められました。
◆その他36協定の基本を抑えるルールは以下の3つです。
・派遣労働者の場合、派遣元が作成義務を負うため、派遣先が作成する必要がない
・法廷時間外労働の上限は労働者の体系(フルタイムか、パートタイムか等)によって異なる
・1度の36協定で定められる法定外労働を課すことのできる期間は1年間である
1. 届出の様式
特別条項を適用しなければならない状況が発生する場合、これまでは36協定の余白や別紙に特別条項として延長が行われる可能性を提示し、残業理由と割増賃金率を明記していました。
今回の法改正では、特別条項が必要な場合と必要でない場合で別の様式を利用する必要があります。
2 法定外労働時間の上限
これまで法定外労働時間の上限は法律に明記されていませんでした。
厚生労働省の告示によって定められていた目安があっただけで、法的拘束力の弱いものでした。
特別条項も年間6回(通算6か月)までという期間の上限はありましたが、労働時間の上限については制限がありませんでした。
今回の法改正では、時間外労働時間の上限が法律に明記されるようになりました。
つまり、労働時間の上限を守ることが出来ない場合罰則の対象となるということです。
この法定外労働時間の上限が定められたことが、労働時間の短縮を促す働き方改革の肝となる法改正であるため注目が集まったのです。
3. 特別条項に定める内容
特別条項が適用される労働者がいる場合、これまで通り業務内容と割増賃金率を定め、提出しなけれまなりません。
さらに今回の法改正では、いわゆる過労死ラインが考慮されており、健康確保措置が義務付けられるようになりました。
一般的に脳や心臓の病気にかかるリスクは月の残業時間が45時間を超えると高まるといわれているので、
それを超える労働時間を課す場合の対応が義務付けられているのです。
1. 「限度時間を超えて労働させる必要がある場合」を確認する
今回の法改正では法定時間外労働、特に特別条項を適用する場合は、丁寧な説明や対応を求められます。
過去のデータや日々の勤務実績から法定労働時間を超えそうな労働者や残業が慢性化している部署を確認し、対応する必要があります。
新36協定へ移行するこのタイミングで、社員の労働時間・勤務状況を確認してみてはいかがでしょうか。
残業が蔓延化している場合は根本的な人材不足の改善や作業効率の向上といった対応も求められるでしょう。
2. 「健康確保措置」の内容を決めること
新制度の下特別条項を定める場合は、「健康確保措置」をとらなければいけません。
具体的には、以下の9つの取り組みから1つ以上導入する必要があります。
・医師による面接指導
・深夜業の回数制限
・終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)
・代償休日・特別な休暇の付与
・健康診断
・連続休暇の取得
・心とからだの相談窓口の設置
・適当な配置転換
・産業医等による助言・指導や保健指導
「新36協定」は、「旧36協定」で実務的に曖昧が許されていた部分を曖昧なままにすることを許さず、時間外労働の延長時間をキッチリ法律上の上限の範囲内におさめる必要があります。
また、特別条項が適用される場合は、それが必要となる理由を具体的に協定書に記載しなければなりません。
「新36協定」の運用開始にあたり、36協定提出時の労働基準監督署のチェックも厳しくなると思われます。
このタイミングで社内的にもしっかり新ルールに沿った36協定を結ぶことで、法令遵守にとどまらず、社員の長時間労働防止や健康の確保にも、おのずと繋がるような効果も期待できるのではないでしょうか。
社内だけで対応が追い付かないようでしたら、社労士さんに相談されることをお勧めします。
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